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大企業ではなく、個人や小さなチームが主催するイベントが、SNSやメディアで話題になることが多くなってきた。

僕は、彼らのことを「小さな主催者」と呼んでいる。

テクノロジーが進む一方で、人が集うことやリアルに体験することの重要性が注目される今、小さいからこそ新しい体験がつくれる「小さな主催者」の時代が来ていると思う

そんな新しい時代の一面を知ってほしいという気持ちを込めて、本企画をスタートしました。

形式は、僕が気になる主催者に「ご飯をおごって、色々と話を聞く」スタイルでやっていきます。

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第二回は、お寺を使った音楽フェス「煩悩 #BornNow」を主催するyossi 2 the future 。実は元師弟関係のあるyossiくん。彼の最近の活動や「煩悩 #BornNow」の誕生からこれから先の展望まで、色々と聞いてみました。

 

 

ナイトタイムエコノミーという文脈の中で、ちゃんと市場をつくりたい

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アフロマンス(以下、ア):まず、近況報告というか、最近はどんな感じ?

yossi 2 the future(以下、Y):おかげさまで「煩悩 #BornNow」の次の開催が決まって、それに向けて大忙しという感じです。9月15日(日)に、表参道の善光寺というお寺で開催します。

:表参道!? またスゴいところでやるね。場所はどうやって探したの?

Y:今回はかなり苦労しました。今年は渋谷周辺でやりたいという話になったんですが、特にツテもなかったので、お寺さんに飛び込みで相談にあがりました。中には名刺を突き返されることもあって・・・初めての経験でした。

そんな中で、今回実施させて頂く表参道の善光寺さんにお伺いした際に「若い子が面白い取り組みをやってるね」と温かく受け入れてもらい、開催に至りました。

:そんな場所で音楽イベントできるんだね…。音出しとかは大丈夫なの?

Y:元々、そのエリアが善光寺さんの門下町らしく、顔が利くというのが大きいですね。もちろん、開催にあたっては近隣の方にはご挨拶に行きます。

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開催が迫った「煩悩 #BornNow 2019」イベントの詳細は公式HPへ。

:ちなみに、NEWSKOOL(ニュースクール)という会社を立ち上げたよね。煩悩はその会社の事業ってことだよね?会社を立ち上げてみてどう?

Y:はい、煩悩もNEWSKOOLの事業としてやっています。起業に関しては、税金とかわからないことが多すぎたけど、なんとかなりました。飲みの場やクラブで出会った人が仕事をくれて・・・本当に感謝しています。仕事目的で作った人脈ではなかったんですが、結果的にそこにすごく助けられました。

:NEWSKOOLは簡単に説明すると、どういう会社?

Y:自分たちでは「ナイトカルチャー発ベンチャー」と呼んでいます。ブランディングやコンサルティングの受託の仕事もやりながら、去年の11月ごろからNEWSKOOLプログラミングという自社事業をリリースしました。DJやラッパーにプログラミングのスキルをつけさせて、稼ぎながら楽曲制作により打ち込めるようにするというものです。ナイトカルチャーを軸にして、2年目は受託から自社事業によりシフトしていこうと思っています。

:いいね。会社でも個人でも、意思表示ってすごく大事だと思ってて。「できること」と「やりたいこと」って違ったりするじゃない? yossiくんの会社でいうと受託の制作はできることだけど、本質的にはナイトカルチャーに関わることがやりたい訳で。

例えばAfro&Co.の場合、立ち上げ時は「泡パ®」のイメージが強くて、世の中からは興行イベント会社になっていたと思う。そうなると、世の中の企業の関わり方って「スポンサー」か「自社の施設への誘致」みたいになってくる。

でも、僕は「新しい体験をつくるクリエイティブの会社」にしたかったから、そういう発信を続けて、低音卓球SAKURA CHILL BARといった新しい企画をどんどんやっていったら、クリエイティブや企画の依頼がすごく増えた。

yossiくんの会社の場合も、制作案件を頼むべきなのか、ナイトカルチャーで何かするときに頼めばいいのか、意思表示をしないと世の中はわからない。活動を続ける中で、自分たちの意思表示を発信していくことは大切だよね。

Y:1年間やってみて、方向性が見えたんですよね。僕らはナイトタイムエコノミーという文脈の中で、業界としてちゃんと市場をつくること、そしてDJやラッパーの人たちが楽曲制作することとお金を稼ぐことを両立させたい。そこからエンジニアのスキルと音楽活動は両立できるのではないかという仮説を考え、プログラミングの事業につながっていきました。

そして2年目は、夜間遊休施設のエンタメコンテンツ化をやれないかと思っています。ある意味、煩悩もこの一つです。夜間遊休施設=夜閉まってるお寺や植物園、美術館とかを夜のエンタメの場として活用する。海外だとCercleが世界遺産でやってるような。日本でしかできないエンタメコンテンツをつくって発信していきたい。

:すごくわかる。僕が最近やっている活動の中でも「有休施設」や「ロケーション」というキーワードがあって。

例えば、LIFULLが「LivingAnywhere Commons」という日本全国どこでも働けて暮らせるサービスを始めたんだよね。その根底にあるのが、遊休施設の活用で、全国の遊休施設をつないで新しい価値をつくろうという取り組み。そこに色んな場所で面白いイベントができないかって流れで、Afro&Co.も参画している

また、ロケーションの重要性も今、面白いテーマだと思う。沖縄のCORONA SUNSETS FESTIVALや、山形の岩壁音楽祭など、その地方にいると当たり前な風景が、エンターテメントと組み合わせることで、唯一無二の体験コンテンツになったりする。

 

 

やりたいことをやったら、後から意義がついてきた

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:ちょっと話戻るけど、煩悩をやるキッカケって何だったの?

Y:友達とシーシャを吸っている時に「今年も俺ら煩悩めっちゃ溜まってるな〜遊び呆けたな〜」って話になって、「これは寺で煩悩を洗い流すしかないな。テキーラを飲みながら」という話がキッカケで始まりました(笑)

なので、最初は深く考えずに始めたんです。やってみたら仏教界も色々な悩みを抱えているし、挨拶回りで町内会を回るとそちらにも悩みがあって・・・僕らが何かできることはないのかなと思い始めて、後から社会的意義が乗っかってきた感じです。

:なるほど。大きな転換点として、先日のAbemaTVの10億円会議の件があるよね。あのプレゼンでは、かなり社会的意義を押してたよね。

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AbemaTVのプレゼン番組「10億円会議」で「煩悩 #BornNow」についてプレゼンし、見事 950万円を勝ち取った。

Y:そうですね。10億円会議は、若者が地域参画するときの参加ハードルを下げることや、入り口をつくることをメインにプレゼンしました。

建築用語で「タクティカル・アーバニズム」って言ったりするんですけど。行政がガチガチの都市計画をやるよりも、例えば市民主体で公園に遊具を置いてみると、人が集まって、自然と輪が広まっていくようなイメージです。煩悩はそれに近いと思っていて。お寺でイベントをやることで、準備の過程から、若者や運営メンバーが地域とつながっていく。そして、イベントが成功したら、次にも何かやってみようってなるんじゃないかと思って、そのような考え方でプレゼンしました。

最初は「寺でパーティーしたい」が入りだったんですが、次第に地域参画の課題解決になっていった感じですね。

:意義や意味って、後でついてくることは多いよね。これ、すごく大事なことかもしれない。僕も、泡パを始めるキッカケは、友達と花見をしているときにイビサ島の泡パーティーの話で盛り上がって「日本でやったら絶対に面白いじゃん!」と思って、開催したんだよね。

そして、実際にやってみると、今までクラブに一回も来たことがない人がたくさん来て、泡パでDJやクラブの楽しさを知って、他のクラブイベントに遊びに行くようになったって人もたくさんいて。だから、シーンへの入り口をつくるというのが、今は泡パの開催意義の一つになっている。まさに、後からついてきた感じ。

Y:一見関係なさそうなものでも、小さくやっていく中で課題が見つかって、それが結果的に解決策につながるケースってありますよね。

 :自分たちが「やりたい」「やったら絶対面白い」と思えるものじゃないと、結局人は動かない。理屈じゃないから。例えば「こんな問題があるから、皆で頑張ろうよ!」という話は正しいんだけど、使命感で動ける人と動けな人がいる。ワクワクしたり、楽しそうと思ったら、自ら参加したいと思うからね。

Y:まずは「自分がやりたいからやる」という方向で人を巻き込んだ方が、結果上手くいく。本気でやっていけば意義は後からついてくることの方が多いのかなと思います。

 

 

スポンサーはキーコンセプトが合う会社に持っていく

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:ちなみに、スポンサーはどうしてるの?こんな会社が相性いいんじゃないか?と思って突撃するのか、知り合いに紹介してもらうのか、とか。

以前「イベントに企業スポンサーをつける方法」ってブログを書いたんだけど、未だにアクセスが多くて。結構、みんな関心があるところだと思うんだよね。

Y「このイベントをやるんだったらこの会社とやりたい」と思って、アタックしますね。例えば、さっき話に出た夜間有休施設の活用だと、H.I.S.さんと組みたいと思っていて。H.I.S.さんのテーマが「未知との遭遇」って聞いたんですよね。子供の頃は未知なことがたくさんあってワクワクしていたけど、大人になったらそういう機会も少なくなる。だから、旅に行こうって話なんですけど、とても共感するなと思っていて。色んなところで聞いた話や、雑誌や記事などで読んだ話で、自分のやりたいこととキーコンセプトが合うと、持って行こうと思います。

繋がり方は、企業のインフォメーションから直接問い合わせることもあれば、知り合い経由で紹介してもらうこともあります。

 :大事なことだね。特に、何十個もスポンサーをつけなきゃいけないイベントじゃないなら、相性や必然性を考えて、ピンポイントに当たっていく方がいいよね。

Y:この会社やブランドと本気で組みたいと思って、スポンサーについてもらうメリットをどれだけしっかり提示できるかが大事だと思っています。

とりあえず「イベントのロゴを出します」とか「サンプリングします」とか・・・本当に意味があるのか?って思うじゃないですか。もちろん、無意味ではないし、ファーストトライアルは獲得できるかもしれないけど、費用対効果は良くない訳で。その会社やブランドをどれだけ押し上げられるかを考えないとスポンサーは取れないと思います。一時期、Red Bullでスポンサー営業を受ける立場だったことがあったので、よくわかります。

イベントって、八方良しにならないといけないって企画をやっていると思います。みんながハッピーになるイベントの落とし所を見つけるのがオーガナイザーの役割なのかなと。そこは広告代理店の調整力みたいな所に近いのかもしれませんが。

:広告代理店はクライアントをハッピーにするけど、それ以外の参加者や関係者もハッピーにしているかというと、抜け落ちてしまうことも多いよね。代理店の見てる先はクライアント、イベント主催者の見てる先は参加者となりがちだから。

Y:それをどれだけ主催者が企業に伝えられるかが大事ですよね。よくある話だと、イベントのWEBサイトや会場装飾で「ロゴをもっとでかくしろ問題」(笑)それが本当に参加者や関係者と良好な関係を築くのに有効なのかって視点で考えないといけない。

 

 

今後は「煩悩 #BornNow」をオープンソース化していきたい

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:煩悩 #BornNowの今後の計画や構想はあるの?

Y:今までのように自分たちで開催もしていくんですが、ゆくゆくはパッケージ化して、地方のオーガナイザーに「こういう風にすれば地元交渉できる」とかノウハウをオープンソース化しようと考えています。結局、地域の人が主催してやった方がいいと思うので。

また「煩悩 #BornNow」という名前を使うなど、ブランディングの部分は別途相談ですね。ノウハウがわかっても、自分たちがやっているのと同じものができるとは思わないので、アドバイザーとしてサポートをしたりすることも合わせて考えています。

:僕も泡パを全国でやったりするけど、まさにマニュアルや素材を渡したら、クオリティ高いものができるかというとまちまちで。だから、イベントをやる上でのボトムアップはやっていきたいと思ってる。アカデミーのようなイメージ。マニュアルを渡してもわからないことはわからないから、直接話したり、一緒にイベントをやることで伝えて、ちゃんとクオリティが出せるオーガナイザーやクリエイターを育てたい。そういう人が地方にいると、長く続く、良いイベントができる可能性が高まると思う。

Y:特に、地域の特性を活かして、こんな要素をイベントに入れようとか、良いオーガナイザーじゃないと生まれてこないですよね。

さっきの八方良しの考え方はとても共感できる一方で、なかなか難易度が高いと思うんだよね。だから、イベントって難しい。一方向だけを見ておけばいい訳じゃない。参加者もハッピーで、スポンサーもハッピーで、地元の人もハッピーで・・・そうなる為には何から手をつけたらいいのだろうかとオーガナイザーは迷う。そういう意味でも、イベントってマルチタスクがすごいので大変(笑)

Y:イベントをちゃんとやれたら、結構色んな仕事に応用できるんじゃないかと思いますよね。

:イベントを主催することに資格はないじゃない?だから、明日からでも誰でも「オーガナイザー」になれる。だけど、恐ろしいほどのタスクと考えなければいけないことがあるので、やってみたら赤字になったり、疲弊したり・・・参加者も満足度が低いまま帰ってしまったり。だから、ボトムアップはしていきたいんだよね。まずはイベントやフェスって難易度が高いということをわかってもらうことから。

Yまずやってみることは大事だと思います。そして2回目、3回目からどれくらい頭を使えるかがキモだなと。気合じゃなくて、どのようにやったら上手くいくのかをひたすら考えるのが大事ですよね。

 

 

最後に

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:最後に、若いオーガナイザーに向けてメッセージをもらえますか?

Y:カルチャーを仕事にしたとき、宮崎駿さんの引退会見でおっしゃっていた「この世は生きるに値する」という言葉が根底にあって。昼の世界で辛いことがあったり、そのまま引きずって夜も眠れないみたいなことがある人がいっぱいいて、そんな人たちを僕らのカルチャーやエンターテイメントで面白くして、誰もが救われる世界を作りたいというのがあります。

僕らの企業メッセージとして「Unleash the World」というものがあって、閉じ込められた世界から解き放って、いろんなライフスタイルを作っていくことで、悩んでいる人たちが救われる世界を作りたい。カルチャーやパーティーにはそういう力があると思うので、共感する人はこの業界に入ってきて欲しいし、みんなでやれたら楽しいです!って感じっす。

:素敵なメッセージ!ありがとうございました。

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yossi 2 the future:https://twitter.com/yossi2thefuture

 

 

【イベント情報】

煩悩 #BornNow 2019

2019.9.15(SUN) @南命山無量寿院善光寺

なんとチケット代は1,000円!

興味を持った人は是非体験してみてください。

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公式サイト:https://www.bornnow2019.com

 

 

世の中に、もっとワクワクを。

アフロマンス